ブログ

カテゴリー:

保険の入れ歯はどこで作っても同じなの?

入れ歯が患者さんの人生を変えると信じている歯科医師山中です。

タイトル通りの質問を患者さんから受けることが少なからずあります。

「保険の入れ歯はどこで作っても同じなの?」

きっと保険の入れ歯を一度作られて、いざ御飯を食べてみよう!っとなったときに保険の入れ歯の「異物感」、「痛み」、「咀嚼の度に義歯が浮かび上がる」「入れ歯の下にご飯がたくさん入り込んでしまう」などのそういった不具合に悩み「保険の入れ歯はこんなに噛めない物なのか!?」っとガッカリされている方が多いのでは無いでしょうか。

この「保険の入れ歯はどこで作っても同じなのか?」この質問にまずお答えしましょう。

結論からいうと答えはNOです!保険の入れ歯とて、やはり製作者によって全く同じコンセプトで作られることは無いからです。

バネの強さや形状も製作者によって違います。床と呼ばれるピンクの歯茎部分を担う入れ歯の形態も製作者によって異なります。

(しかし残念ながら保険治療で選択できる材料の性質から「薄さ」や「強固さ」「熱伝導率」「審美性」などには限界があり、全ての患者さんの悩みを解決できるかと言えばそうでは無いことは大前提ですが)

欠損補綴治療:つまり歯が無くなってしまったところに人工物の歯を足す治療(入れ歯治療のことですね難しく言ってすいません)。この治療で一番大切なことは「残っている歯の環境をいかに整えるか」にかかってきます。

部分入れ歯を作ったのに全く噛めない。という患者さんではこの周囲の歯の治療をスキップしている方が本当に多いのです。

どういうこと?と思われる方が多いかも知れませんのでご説明いたします。

このようなお口の患者さんがいらっしゃり、歯が無くなってしまったところに入れ歯を作りたいとのことでした。上下の奥歯に歯が無いところがあるのがわかるかと思います。

このまま周りの歯を治療せずに部分入れ歯を入れるとすると、上記で触れた

「異物感」、「痛み」、「咀嚼の度に義歯が浮かび上がる」「入れ歯の下にご飯がたくさん入り込んでしまう」などの主訴が出てきてしまうことになります。何故なら

わかりますでしょうか。赤い矢印の幅の部分にこのままん部分入れ歯を入れるのに、ほとんどスペースが無いことを。

長く歯が無い状態を放置していると反対側の歯が伸びてきてしまいデンチャー スペース(入れ歯が入るスペース)を押し潰してしまうからなんです。

このままのデンチャー スペースで入れ歯を作るとぺらぺらの薄い入れ歯が出来上がってしまいます。左右の噛み合わせの高さも不均等で、噛む度にギュっとズレてしまいます。痛みも出るし浮き上がるしご飯も入るでしょう。そうならないように部分入れ歯を作る前に左右不均等な高さになってしまった被せ物から手を付ける必要があるのです。(被せ物をやり直したりして歯の高さを揃える治療です。)

欠損補綴治療で大切なのは周りの歯の環境を整えることです。

保険の治療でも自費の治療でも言えることですが、噛める入れ歯を作るためには歯がなくなっているところだけに着目するのではなく、口の中全体の噛み合わせを俯瞰して見ることが必要になります。

「部分入れ歯を製作したのに全く噛めない」という患者さんは、噛み合わせが壊れてしまっていることが多いです。

入れ歯でお困りの方は、まず鏡でご自分の口の歯並びを見てみてください。

歯の高さが左右不均等になっていませんか?歯がなくっているところの相手の歯が飛び出していませんか?気付いたらかなり前歯がせり出して出っ歯になっていませんか?

お口の中の噛み合わせに不安があったり、入れ歯を入れたのに全く合わなかったという患者さんは是非一度ご相談ください。